ばーちゃんの爆弾

「ばーちゃん!何持ってる?」
なにやら、黒い筒状のものをもって
久しぶりにやってきたばーちゃんに訪ねた。
「爆弾だってよ」とばーちゃんは答えた
「爆弾!?」
「なんか、イランだか、イラクの人が部屋すんでただべ。
帰る時に貯めた家賃の代わりにておいってたんだ。
なんか、ターバンだがタリバンだかで、どこか逃げるみたいな事いってた。
あ、これ、結構高いものだからって、部屋代くらいはちゃーんと、行くとこ行くともらえるって。」
「ばーちゃん、それ、タリバンの爆弾?ってこと」
「なんか、そんなよーな名前だったね」
「そんなん、もってちゃだめだ〜、ば〜ちゃん」
私は慌てて、ばーちゃんに言った。

「なんか、おめ〜使うかな〜思って」
「いらね〜よ。そってらもん。爆弾ってなんだか知ってのけ?」
「あったりめーさ、戦中派だもん。ばーちゃんは、風船爆弾つくったのばーちゃんだ。」
「そんな、あぶねーもん、なんで今頃もってくんだ?」
「だ〜から、おまえ、使うかな〜思って」
「つかわね〜、そんなもん、早く警察に持っていこ」
「いやだ〜警察は苦手だ〜。」
「なんか、くれた人の事、いっぱい人が来て聞いて、ばーちゃん、すごい嫌な思いしたから」
「あったりめーだ。タリバンの潜伏先じゃ、しょーがなかんべ」
「しらんよ〜、ば〜ちゃん部屋貸しただけだから」
「まあいい、それより、爆弾どうにかしろ」
「うん、だから、お前にやるわ」
「いらんよ〜、なんで〜」
「うん、ばーちゃんなあ、なんか変なストカ〜に最近つけられているみたいで、なんか、あぶなくてな」
「それ、けいさつ!多分ケーサツだと思うよ。素直に爆弾ケーサツにわたせ〜!」
「そうか、わたして、バーンか」
「なに、危ない事考えてんだ〜。ふつーにわたせばいいんだよ」
「わたしたら、部屋代もどってこないよ。かわいい孫のお前だからお年玉代わりにやるんだ。遺産だ、遺産。」
「いらないよ〜」
「まあ、いらんだったらいい。じゃ、これどこでお金にしてもらえるか、知ってるか?」
「しらないよ〜、そんな裏社会の事!」
「何だお前、28にもなって、やくざと付き合いのひとつも無いのか」
「ないよ!。まっとうに生きてんだからね。ばーちゃん」
「困ったの〜、川向こうのお龍さんはおととし死んじまったし、組長やってたマサさんも5年も前に行っちゃたし、人切り緑さんは…あ、もう40年も前か、川向こうの指無しゲンちゃんも去年だし、小松も、大松も、とうに死んでるし、あとは、こそ泥やってた鯉ちゃんくらいかね。でもほるほる言って、鯉の輪郭ほってすぐ根を上げるようなやつじゃ、高く売れないだろうしね。困ったね」
「なんか、ばーちゃんすごくね〜?」
「ん?昔はみんなこんなもんだよ」

さてさて、爆弾はいかに!

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