不●家の陰謀

「では、バレンタインの義理チョコ廃止という事でいいですか?」

「ちょっと待ってください!」

「はい?どうぞ、係長」

「じつは私はまったくもてなくて
 女性から本気チョコなどはもらった事がありません。
 言ってみれば、義理チョコが唯一の慰めだったのです。
 もちろん、もらったお礼は10倍以上の
 モノをお返ししていたわけで
 いってみれば、義理チョコが
 唯一のオアシスだったのであります」

「しかし、その女性たちからこんなに意見が出てしまっては…」

「わかってます。どうでしょう?
 私だけでも義理チョコしても良いと
 書き加えていただけないでしょうか?
 いや、もちろん、10倍返しとは言いません
 このさい50倍返しにしますから
 100円のチョコで5千円ですよ
 全面禁止だともう、私
 一生チョコがもらえないってことに
 なってしまうかもしれません」

「しかし…」

「わたしは100倍返ししよう!」

「部長!」

「じつはわたしは、大の甘党なんだ。
 しかし、糖尿で家ではもう食う事はできんのだ
 堂々とチョコが食えるバレンタインが楽しみだったんだよ
 どうかね。100倍返しで
 わたしも除外してもらえないだろうか?」

「しかし…」

「わたしは200倍返ししよう!」

「専務!」

「じつはわたしは、これでも昔は結構もてたんだよ。
 しかし、最近はさっぱりなんだ。
 もう、娘にパパは昔はもてたんだぞ!
 なんていっても、信用してもらえないんだよ
 娘が家に帰ってチョコをひとつももらえない私を見たら
 それこそ、私の立場がないんだ。
 どうかね。200倍返しで
 わたしも除外してもらえないだろうか?」

「しかし…」

「わたしは500倍返ししよう!」

「社長!」

「訳は聞かんでくれ!
 どうだ。
 100円で5万だ!」

「待て!わたしは千倍返ししよう!」

「会長!」

「訳は私から話そう
 じつはこの会社の女子社員の中に
 社長の隠し子がいるんじゃ。
 もちろん、その子は社長の子供だという事は知らんのじゃ
 こいつは
 その子からチョコをもらえるのが
 唯一の楽しみなんじゃ」

「しかし…会長はなぜ?」

「わしか?わしは…
 惚れてる子がいるんじゃ
 キャ はずかしい!」

「しかし〜」

「待ってください!」

「キャ〜」

「平の桑島さん!」

「あの〜僕は義理チョコいらないです!」

「キャ〜」

「え!」

「だいたい、僕は義理チョコより
 本気チョコをもらってるんで」

「キャ〜」

「ほんとうかね?」

「はい!まあ、ぼくは若いですし、
 自分で言うのもなんですが
 けっこう、もてるんです」

「キャ〜」

「うらやましいな〜」

「あの〜ちなみに
 今回の議題のきっかけが
 桑島さんなんですけど…」

「キャ〜」

「え!」

「桑島さんへの苦情で
 義理チョコなのに
 俺に惚れてると色々なとこに
 言いふらされて困るとか」

「お返しもくれずに偉そうとか」

「キャ〜」

「チョコを一日中眺めて気持ち悪いとか」

「キャ〜」

「一日中チョコを舐めているとか」

「キャ〜」

「なんか、気持ち悪い感じで
 チョコをさわっているとか」

「キャ〜」

「単に口が臭いとか」

「キャ〜」

「もう、数えたらキリがないんですけど」

「ちょっとまて!
 みんな、本気だったんじゃ…」

「キャ〜
 そんなとこがきもいです」

「まて、話し合おう。みんな落ち着け!」

「キャ〜
 話し合ってるんですけど…
 落ち着いてないのは自分だし(ボソ)」

「落ち着け!落ち着け!
 みんな、俺にほれてたんじゃ…」

「キャ〜そんなわけないです。」

「だって、俺だけ箱が違ったじゃないか!」

「キャ〜
 みんなのよりひどいのを送ったのに。」

「そんな。
 悪い夢だ
 俺は悪い夢を見ているんだ」

「イヤ〜きも〜い」

「まてまて!
 これは、これは
 そうだ!
 不●家の陰謀だ!
 不●家の陰謀にちがいない!
 おれは
 おれは
 
 そうだ。
 おれは

 ポコちゃんなんだ〜」

(意味無し)

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