ホワイトデーのお返しは…


「先輩、あたし考えたんですけど…」

「ん?」

「あたし、ホワイトデーのお返しは…
 何がいいかな〜って
 気を使わなくっていいですから〜
 奮発してください
 ね?」

「え!なに?ホワイトデー?
 バレンタインに何かもらったっけ?」

「っていうか〜、あたし待ちきれなくて
 前日に先輩の靴の中に」

「バレンタイン前日?
 靴の中?
 まさか
 あの犬の糞!」

「ひ どーい!
 あたしの〜、愛情いっぱいのチョコなのに〜」

「あんなひどい匂いのチョコがあるか!」

「先輩、納豆好きっていってたじゃん。
 他にお寿司も好きだって〜」

「お前、チョコに納豆と寿司いれたんか?」

「あと、あたしの愛情!」

「愛情ってなんだよ」

「だから、チュって…」

「お前、チュって
 ツバ垂れてるじゃん!大量に…」

「あたし、期待しすぎて
 3ヵ月も早く作っちゃたんだぞ!
 この幸せ者!」

「生魚と納豆をぐちゃぐちゃに
 まぜたチョコを3ヵ月も前に…
 この暖冬の年に…」

「いや〜先輩!
 目がこわい〜
 今、変な事考えたでしょ?
 そんな目で見ると
 惚・れ・ちゃ・う・ぞ・!」

「俺は今
 長年犯人を追いつめた
 刑事の目をしてると思うぞ!」

「きゃ〜先輩が刑事なら
 あたしが犯人!
 いや〜捕まっちゃう!」

「ああ、お前を捕まえて死刑にしたいくらいだ!
 お前のせいで、俺は、俺は…
 お前の腐ったチョコを踏んだせいで、俺は、俺は…
 “足くさお”ってあだ名になり
 このひと月
 好きな女からは完無視をされ、
 いや、それどころか
 クラス中の女子からはじかれて」

「お、いいじゃん。
 ラッキー!
 じゃあ、恋のライバルはいないってわけね
 足くさお!」

「男子たちからも相手にされず
 引きこもりと人間不信になり!」

「うんうん、よちよち
 今時の青春だ〜ね
 くさおちゃん!」

「おのれ〜」

「もう〜?
 目が
 おおかみだぞ!」

「ぐおら〜」

「きゃ〜
 先輩、積極的〜
 でも先輩
 そんなに強く抱きしめられると…あたし…」

「ぐるる〜卍固め〜」

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