プレゼント

朝起きてわたしはあわてて枕元をさがした。
「やっぱり、今日も無かったか」力なく肩を落とした。
わたしが探しているのは、サンタからのプレゼントだ。
「パパ、サンタからプレゼントもらった〜」と子供たちがバタバタとやってきた。
昨日わたしが枕元に置いておいたプレゼントだ。

わたしの家は貧乏だったせいか、子供の頃にプレゼントをもらった記憶は無い。
もっとも、サンタという人物も知らなかったし、回りの友達もプレゼントなどはもらっていなかったから、それはそれで良い時代だったのかもしれない。

しかし、わたしはもらってもいないプレゼントをわたしの子供たちは毎年せびるのだ。いや、それはそれでいいのだ、そう言う時代なのだから。
しかし、なぜだろう、わたし自身も、死ぬまでに一度くらいはサンタからプレゼントがどうしてもほしい。そんな気持ちが年々強くなっている。

そんな事をひとり思っていた。
嫁にでも話せば、そっとなにかプレゼントを置いてくれるかもしれない。
だけど、わたしがほしいのは妻からのプレゼントではない。
サンタからのプレゼントなのだ。
叶わぬ夢だが
わたしはここ10年それを望んでいる。

やはり、無理な話だ
と起き上がり朝食を食べにリビングへ行こうと立ち上がった時に
「いた!」

なにやら、わたしの靴下に異物が入っている?
きゅうに心臓が高鳴る
「もしや」
ついに心待ちにしていたモノが、この靴下に入っている…気がする。

わたしの顔はそのとき
こどもがプレゼントをもらって
はじめて開けるような
期待と不安の入り交じった表情で
靴下を脱いだ。

逆さまにふって出てきたものは…

みかんの種?いや、よく判らないが種らしきものだった。

わたしは試しにこの種を鉢植えに植えて見ようと思う

サンタがいったいわたしに何をくれたのか。

今から非常に楽しみである。

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