りんご

蜜がいっぱいの林檎は おなかがいいっぱいだった。

それはそうだ。お腹には蜜がいっぱいなんだもの。

となりの花束に声をかけた。

ぼくもいい匂いがするが、君もとても良い匂いがするね。

それはそうよ 私の頭の上には た〜ぷりの蜜がいっぱい詰まっているんですもの。

なるほど、だから、こんなに良い匂いなんだね。
どちらが良い匂いなのか、勝負をしようじゃないか
来たお客さんをどちらが楽しませるか
勝負だ。

ええ、もちろんいいわよ

最初にきたお客はミツバチ

勝ちを確信した花は背筋をピーンと伸ばしミツバチを待った。

ところが、

このところの寒さがミツバチの体力を奪ってしまったのだろう

花にたどり着く前に死んでしまった。

次に部屋にやって来たのは子供

リンゴは勝ちを確信した

いつも子供はリンゴが大好きなのだ
お腹をすかせた子供は
真っ先に見つけて、かぶりつくに違いない

そう、思った。

ところが、

子供はりんごに目も向けずに通りすぎてしまった

よく見ると子供の口には真っ白な生クリーム
右手には見た事も無い様な おおきなチキン
左手には 真新しいロボットのオモチャを持っていた。

三番目のお客は

サンタクロース

のカッコをした

よぱらい。

真っ赤なサンタクロースの格好をしたよっぱらいは鼻歌まじりに
真っ赤なバラと
真っ赤なリンゴを手に取り

りんごをかぷりとかじりながら
ばらのはなの にほいをかいて
うっとりしたかおで
となりのへやのこいびとに あいにでかけた。

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