もしも

もしも、ぼくが人間で
当たり前のこと
当然のように出来たら、
たとえば、手を使って食事したり
口から発音して
君を誘惑してみたり
足を使って遠くに行ってみたり
目で君を感じとったりしたら
はたして君は僕に興味を持って
接してくれただろうか
僕は大人になる前に
寿命がきて
水になって
土にしみこむ
そこから青い野菜が僕を
ホンの1%ほど吸い取って
君に届ける
ぼくは黄色い個体を
ふるわせながら
君に噛み砕かれる
僕がどろどろになったころ
ぼくは君の大脳にまで届いて
はじめて君はぼくの存在を知るんだ。
ぼくは君の頭の中で
ぼくを育てて
君がぼくになるまで
おおきくなるよ

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