山田

私は愛する妻のために
今日も猟りに行ったが、まったく収穫がなかった。
これ以上は私も体力が続かないので
帰りにいくつかの虫を捕って、
それを子供たちに与えるつもりだ。
子供は2人いて、育ち盛りのせいか、
いつもおなかをすかせていいる。
せめて、甘い蟻の巣でもないかと探したのだが、
残念ながら見つからなかった。
少し苦い青虫と、ふんころがしを捕まえた。
あまり喜ばないだろうが
それでも何もないよりましだ。
村に帰ってみると、実にいい匂いがした。
隣の山田がイノシシを捕まえたみたいだ。
その匂いが本当にすばらしくいい匂いで
私の狩りの収穫と比べられるかと思うと大変落ち込んでしまった。
山田は頭は良くないのだが体力があって、
いつも狩りの自慢をするちょっと嫌なやつだ。
やつの自慢は下唇が、村一番大きいことだ。
いや、実際、子供のころは私の方が大きかった。
しかし、穴をあけてからは奴のほうがどんどん大きくなっていった。
まあ、そんなことはどうでもいい。
それにしてもいいにおいだ。
住処に帰ると子供たちが肉を食べていた。
いや、子供どころか、妻も食べていた。
いや、それどころか、妻は私の分まで差し出した。
私は、チーターも驚くような速さで肉を取り、そして食べた。
うーまーい〜!、イノシシはいつくらいぶりだろうか?
あれは、村の結婚式いらいだから、だいぶ昔だ。
きけば、山田が哀れんでたくさんくれたらしい。
いやー、山田はえらい!
村一番のいいやつだ。
唇も奴が一番でかい!
狩りの名人だ!
性格もいい
男前だ!

ひさしぶりに満腹になって寝た。
いい夢をみた。

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