浮浪者と子供

子供は小さな穴の空いた財布を持っていた。
その中には500円が入っていた。
500円は財布から飛び出ることはない。
財布の穴は500円より小さいからだ。
子供は財布をもってお弁当を買いに出かけた。
お弁当を頼んだ。
480円のカツどんだ。
その時にちょっとあぶない浮浪者がやって来た。
あ-あ-としか言えないみたいだった。
お弁当を買いたいのは判るが,いかんせん
あ-だけではおばちゃんも困り果てている
そうこうするうちにお弁当が出来た。
お金を払おうと財布をあけると

ない。
500円がなくなっている。
よく見ると浮浪者は500円を握っている。
落とした!?
落ちないと思っていた財布の穴から落ちた!?
そしてお店の前にいた浮浪者に拾われた?
とっさにそう判断したが、確証はない。
おばちゃんが480円です。と言ってきたが子供はもじもじしている。
お金がないのである。
浮浪者もあーあーとあいかわらず叫んでいる。
さっきと違うのは困った子供に500円玉を渡そうとしている。
あーあーといって渡そうとしている
子供はいいよといいながらも浮浪者は渡そうとしている
子供は浮浪者のあーあーを良く聞くと『そこで落としたのを見たから返す』そう言っているような気がしてきた。
ありがとうと言って浮浪者から500円をもらうと浮浪者は出て行った。
子供はそのお金でお弁当のお金を払うと浮浪者の後を追いかけた。
追いついた子供は、浮浪者を呼び止めてお弁当を渡しそうとした。
浮浪者はあーといいながら、いらないと手を横にふったが、
子供は無理やり浮浪者にお弁当を渡して、自転車で帰っていった。
子供が家について、ふとテーブルに目をやると500円玉がテーブルのを上に置いてあった。
落としたと思った500円玉は子供が取り忘れていただけだったのだ.
とすると、、
あの浮浪者はただ困った顔をしていた子供を助ける為にお金を差し出しただけだったのである。
子供の手には20円が握られていた。

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