私は犬である

私は犬である
だから、嗅覚はとてもするどい
人間のそれと思ってもらっては困るのだ。
私は犬であるからして
とてもわかってもらえないだろうが、
なんといえばいいんだろう。
つまり、匂いが見えてしまうのである
匂いが見えるなんてバカなとお思いだろうが
人間の感覚で考えるのはやめていただきたい。

たとえばお肉の匂いがするとする
人間なら、ああいい匂いだと思うだけかも知れないが
我々はその匂いがどこから流れてくるのか
うっすら煙のように見えるのである。
いや、煙のようにあやふやなものではない
どちらかというと
透明なチューブが続いているような見え方なのである

見ているのではないだろう
それは、頭の中で視覚と嗅覚が合体しているのだろうと思う。
なにはともあれ、匂いは見えるのである。
だから、この匂いがどのあたりまで繋がっているのか判るのだ。

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