お願い

ピンポンとチャイムがなって
はーいと出てみると
目の前にびしょぬれの女性が立っていた。
うつむいた顔を見る限りは絶世の美女と呼んでもいいくらい美しい。

ぼくはいつになく優しく
どうしました?と声をかけると
彼女はぼそぼそとなにやら小さな声で話始めた
「いつ・・・で・・・おねが・・・・」
よく聞き取れなかったが、なにやら助けを求めているみたいだったので
「ともかく、そんなに濡れていては体に毒です」
「どうぞ、部屋に入り・・」
「お願い!」と顔を上げて僕を見た。
「わ、わかりました」
彼女の美しくも強い目つきで私は圧倒されてしまった。
「ありがとうございます。3年も契約していただけるなんて
これからも、毎朝新聞を宜しくお願いいたします」
と言って
洗剤をたくさん置いて彼女は出て行った。

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